SDGsは儲かるのか?
先日、経営者仲間の勉強会に参加しました。テーマは「SDGsを経営に活かす」。参加した各社から、17の項目に対して、それぞれの取り組み内容や苦労していることなどの発表がありました。やはり関心が高いテーマなんだなあと感じたのと同時に、これからの企業経営にSDGsは重要だと改めて認識しました。
「率直に言ってSDGsは、儲からないとなかなか取り組みに没頭できない」という、ある経営者の一言がとても印象に残りました。悪い意味ではなく、良い意味で、経営者の本音だと思います。
ご存知の通り、SDGsとは「持続可能な開発目標」という意味です。今までの考え方のままで経済活動を続けていると、社会的な諸問題がもっと表面化してくる。企業活動においても、従来の財務情報だけを重視したものではなく、あらたに社会的責任という視点を取り入れるべきだ、という思想が根底にあります。「誠にもっともなことだと思うが、ではどうやって取り組めばよいのか?」というのが、取り組みをはじめて間もない企業の悩みなのではないでしょうか?
17項目のうち、自社として取り組めるものはどれかを検討し、その目標に対して現実的にどのくらい取り組めるのかを手探りでやってみる。というのが第一段階のようで、SDGs推進担当者を配置して進めている企業が多いようです。一つ目の難関は「社員に浸透しない」という現状です。理念に共感はするものの、そのせいで実務に影響が出たり、余計な作業が増えたりするのは困る、というのが社員の本音でしょうから、どうやって啓蒙していくかに頭を悩ませるわけです。社員にとって何がメリットやデメリットなのかという概念をつくり、SDGsに取り組む価値について社員の腑に落とす作業が必要になってきます。自社の企業理念を社員に浸透させるのも大変なのに、SDGs理念を浸透させるというのは、これはかなり大変な作業だと直観的に分かります(余談ですが、企業理念よりもSDGs理念の方が浸透しやすいという場合もあるのかもしれません)。
なぜ腑に落ちないのか?SDGsの取り組み自体が、今までの経済活動の否定と捉えられてしまっているのかもしれません。「お客様や株主の理解が得られなくなるのでSDGsに取り組む」という論法で社員を啓蒙し、腑に落とさせている大企業や上場企業が多いように見受けられます。それはそれでひとつの方法論として否定する気はないのですが、中小企業にとってこの論法は、頭では理解できるが実態としてピンとこない、のではないでしょうか。
今までの経済活動を否定したり抑制したり、お客様や株主が云々…もいいのですが、「いままでの企業活動をより進化させ、新しい価値観を作り、よりよい社会になれば、うちの会社にはこの部門でこのようなメリットがある」という自社にとってのメリットを強調したビジネスモデルを社員に提示し、世界的規模ではなく、もっと身近な地域や家族がそのメリットを実感できるようイメージさせてあげることの方が、社員の啓蒙にとっては有効なのではないかとも感じています。