<後編>選択する、決定する、捨てる能力(新規事業人材の能力-4)
ビジネスにおいて“新しい価値”を生み出しカタチにするために、私たちはどのように選択し、どのように決定し、どのように捨てればよいのでしょうか?最終回では、捨てる能力、について考えてみます。
現在NHKで放送中、芳根京子さんと永作博美さんが出演している「半径5メートル」というドラマがあります。先日放送された第4回「私はこれを捨てられません」を観ました。ドラマは、カリスマミニマリストが書いた『私は、捨てる勇気を持つうちに、夫が必要でないことに気づき捨てました…』という衝撃的な記事からはじまります。そんななか、永作博美さん演じる記者の宝子が、「私はこれを捨てられません」というテーマで記事を書こうと言い出し…という展開です。あらためて「捨てる」ことの難しさについて考えさせられました。
人のモノは捨てることができるのに、なぜ自分のモノは捨てられないのか?そのモノには自分の思い出や愛着があり、それを捨てることは何か自分の大切な心の部分も一緒に捨てるような気がしてしまう、からだと思います。
しかしビジネスの「捨てる」は違います。部下がプレゼンしたA案とB案のどちらかに決めなければならない。どちらを捨てるか?という判断は、自分の思い出や愛着とは関係ありません。なぜどちらかを捨てられないのか?(なぜ決められないのか?)もうお分かりですね。答えは「責任を取りたくない」からです。その気持ちは痛いほどわかりますが、これでは幹部や管理職失格です。このような場面では、幹部や管理職の方の覚悟ができているかどうかが垣間見えます。
「決定する」も「捨てる」も、実はスキルや技術ではなく、能力であることが分かると思います。これらの能力を養うためには、古典を読んだり、異文化に関心を持ったり、趣味を持ったり、ボランティアをしてみたり、ヨガや瞑想をしてみたり、といった、ビジネスとは関係のない領域での体験や知恵、いわゆる教養を身につける以外に方法はありません。なんでもそうですが、知識ではなく知恵として使えるようにならなければならないのです。時間がかかりますが、しかし確実に、ビジネスにおいて、あなたがもっと上のステージで判断や決断をする場合に通用するようになります。
社員研修には「スキルと知識の習得」を目的にしたものと、「知恵の磨き方や人徳の向上」を目的にしたものがあります。また短期習得ができるものと、中長期で育成するものがあります。即結果を求める現在の風潮の中で、あらためて研修の在り方を見直していただきたいと思います。それが結果的に、企業や組織の成長に最もはやく近づく手段になります。リジョイスコンサルティングでは、社員育成計画の立案支援を行っていますので、お気軽にご相談ください。