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アイデアが溢れ出る 想像できる能力(新規事業人材の能力-2)

アイデアが溢れ出る 想像できる能力(新規事業人材の能力-2)

今回のコラムでは、新規事業人材が持つ2つめの能力「(こんなふうになればいいな、と)想像できる能力」について考えてみたいと思います。

仕事で楽しいことを想像できないという人の言い分はよくわかります。思い通りにやらせてくれなかったり、自分よりも知識やスキルで優れた人がたくさんいて自分に自信が持てなかったり、自分では頑張っているつもりだけど良い評価をしてもらえなかったり、など、モチベーションやテンションが上がらない外的要因が多いのだと思います。ですが要因はそれだけではありません。私たちは、楽しいことを想像できなくなってしまっている場合があります。私の経験談ですが、職場ではじめて部下ができたとき、部下に「自分が楽しいと思うことを好きなようにやっていいよ」と指示してみたことがあります。するとその部下は逆に何もできなくなってしまいました。何をしたらいいか分からないと言うのです。当時は「そんな馬鹿な!」と思いましたが、そういう人が結構多いんだということがだんだん分かってきました。

ある企業研修で、真っ白な画用紙を渡して「好きな絵を描いてみてください」という課題を出してみると、他の人はどんな絵を描くのかとまわりが気になってしまう人、他人から褒められようと意識して絵を描く人、腕組みをして何を描くかを一生懸命考えはじめる人…。いろいろとみなさん面白い反応をします。同じ課題を子供に与えてみると、ほとんど全ての子供が夢中になってお絵描きを始めます。絵が画用紙からはみ出してしまってもお構いなしです。お絵描きではなく自分がやりたい遊びをしだす子もいます。私たちはいつの頃からか、こういう純粋な子供のようなふるまいをしなくなり、知らないうちに、振り絞って考えなければ自分のやりたいことが浮かばないようになってしまい、挙句の果てには、自分が何をやりたいのか、なんのためにこの会社に入ったのか、なんのために生きているのかわからない、というようなことが起こります。

やりたいことや好きなことを想像しても意味がないし現実はそんなふうにならない、と言う人がいますが、想像することで何か損をするわけではないし、誰かに迷惑をかけることもありませんので、ぜひ、日頃から「こんなふうになればいいな、と想像してみる」ことをおススメします。簡単なことのようですが、好きなことだけを想像するというのは案外難しいのです。今から課題を出しますので、みなさんも挑戦してみてください。

寝る前に、目を閉じて、「こんな部屋があったらいいなと思う究極のあなたの部屋」を想像で作ってください。その部屋はどんな広さでも構いません。六畳ぐらいの部屋でも構いませんし、天井や窓や壁がないどこまでもつづく部屋でも構いません。部屋がある場所は日本でなくても構いませんし、地球上でなくても構いません。その部屋は、見たこともない大昔のイメージでも、遠い未来のイメージでも構いません。その部屋には、あなたの家族や、あなたが好きなアイドルや芸能人、恋人が何人いても構いません。大好きなペットや飼ってみたい動物や恐竜がいても構いません。ロボットや機械、パソコン、人工知能に囲まれていたいならそれでも構いません。その部屋には、好きな食べ物や飲み物、好きな服、好きな本、好きな車、お金、大きなお城、自分の好きなものを何でも、いくらでも置いて構いません。その部屋には、海があったり、草原があったり、昼なのに月や星が出ていたりしても構いません。その部屋では、やってはいけないことなどありません。あなただけの、誰にも知られない、究極の、あったらいいなと思う部屋です。

どうですか?この想像訓練(妄想訓練か?)は結構むずかしいでしょう?どれだけ自分の想像力が乏しいか、すぐ分かります。初日は何を想像したらいいか戸惑うでしょう。2日目は、前日の続きからはじめてください。嫌だったら最初から部屋を作り始めてもいいのです。毎日続けていると「想像するコツ(想像を抑制している壁を突き破るコツ)」がわかってきます。

何を言いたいのかというと、子供の頃にあった想像力が大人になって弱くなったとしても、訓練によって想像力を取り戻していくことができるということです。筋肉トレーニング、外国語トレーニングと同じです。弱くなってしまっても訓練で若返るのです。泉のようにアイデアがどんどん溢れ出てくる、新規事業人材の能力である「(こんなふうになればいいな、と)想像できる能力」は、訓練によって鍛えることができるのです。想像できる能力は、現状を突破したり、新しいビジネス構想を切り開いたりする鍵となります。自分はこんなふうになりたい、こんな素敵な会社にしたい、世の中こんなふうになったらいいな、というイメージが浮かぶようになったら、あなたの新規事業人材能力が開花したということです。